ケルト民族の前にブリテン諸島にいた謎の民族(その3)

最初にアイルランドに戻ってきたのは、ギリシャに逃れていたネメディア族の一派とされるフィル・ボルグ族でした。
フィル・ボルグ族はギリシャでは約300年にわたって奴隷扱いを受けていましたが、ある時ギリシャの船を盗み集団で脱出。つまり「出エジプト」ならぬ、「出ギリシャ」みたいなものですね。彼らは奪った船で、かつて祖先が移住しようとしたアイルランドを目指しました。

彼らの祖先は戦いで優位に立ちながら、疫病にやられました。で、今回の戦術は、巨人の魔族であるフォモール族とはあえて戦わずに、融和を図るというものでした。その戦術は成功し、いつしかフォモール族とは棲み分けながら、アイルランドを支配できるようになりました。

フィル・ボルグ族はアイルランドを五つの地方に分け、五人の王がその地域を統率する統治形態や、法律や裁判という制度を制定しました。ただしフィルボルグ族の繁栄は37年間しか続かなかったと「神話」は伝えています。というのも、北に逃れていた同じネミディア族の一派が、女神ダヌを母神とする神々の一族トゥアハ・ディ・ダナーン(女神ダヌの一族、ダナン神族、ダーナ神族)となり、アイルランドに侵攻してきたからです。

ダヌ神族(ダーナ神族)は巨人族で魔法が使えるうえ、高い芸術文化や優れた技術を持つ高度な文明を有する一族となって、アイルランドに「戻ってきた」ことになっているわけです。

ダヌ神族は次々に、フィル・ボルグ族の土地を侵略し、支配下に収めて行きます。そしてついに、モイトゥラ(西海岸の町ゴルウェイのそば)で、アイルランドの統治権を掛けた決戦となります。その戦いでダヌ神族はフィル・ボルグ族を打ち破るのですが、ダヌ神族の王ヌアズはフィル・ボルグ族最強の戦士スレングとの一騎打ちに破れ、右腕を失います。

勝利したダヌ神族は、フィル・ボルグと協定を結び、アイルランドの統治権を認めさせた代わりに、コンノート(北西部)やアラン諸島にフィル・ボルグ族が住み続ける権利を保証したとされています。これにより、事実上アイルランドの統治権はダヌ神族に移りました。

ところが、問題はまだありました。アイルランドをフィル・ボルグとともに支配していたフォモール族です。また、ダヌ神族内にも王位継承問題が浮上しました。ダヌ神族の王ヌアズは戦いで腕を失ったことで、「肉体的欠陥を持つ者は王になれない」という、当時の慣習により王位に就きつづけることができなくなったんですね。そこで、もう一つの潜在的敵であるフォモール族の王エラッハとダヌ神族の女神エリウが「結婚」したことによって生まれた、魔族と神族の混血ブレス(美しき者の意)をダヌ神族の王としました。しかし、これが大誤算だったんです。
(続く)
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