海人族の王女が「巨大なワニ」にされた事情

記紀神話を読むとニニギが天孫降臨(王位就任)した後からの日向国のドタバタぶりがよくわかります。
王統断絶疑惑、兄弟間の争い(事実上の内戦)とそれに続く兄の王家からの追放、海人族との二度にわたる政略結婚など、物語のネタに尽きませんね。

気になるのは、日向国の王がなぜ二度も海人族と政略結婚しなければならなかったか、です。
普通は一度です。ところが二代続けて王が海人族から娘をもらっているというのは尋常ではありません。

考えられるのは、日向国自体が内戦で疲弊して、かなり弱体化。軍事力のかなりの部分を海人族に頼らざるを得なくなっていたことでしょうか。だからどうしても海人族との血縁関係を深めなければならなかった、というように考えることができます。まさに、乳母でありながら、後にその王子(ウカヤフキアエズ)の妃になったというタマヨリビメの物語そのもの、「おんぶにだっこ」という感じです。

もう一つの考えは、海人族を頼らざるを得なかったというのは同じですが、最初の結婚の際の約束(政略結婚をする際の和平の条件)を日向国側が一度破ったからだと見ることもできます。記紀神話では、ホヲリが海人族との約束を破ったことが明記されています。つまり妻の出産の場面を見るなと言うのに見てしまったので、怒った妻は海人族の国に帰ってしまったと書かれています。

この約束の不履行が実際はなんであったのかはわかりません。ただその後のホヲリの慌て振りからは、海人族のご機嫌を取るために、もう一度和睦をし直して、政略結婚をしなければならなかったのだということが何となくわかるんですね。主導権は海人族が握っていたように思われます。

海人族が優位な立場にいたことは、遺伝学的に見てもそうですよね。日向族の王と海人族の王女が結婚して生まれたウカヤフキアエズはハーフ。そのハーフと海人族の王女が結婚すれば、計算上4分の3が海人族の血で、4分の1が日向族の血ということになります。女系相続であれば、ほとんど日向国は海人族の国家ということになりますね。

しかしながら記紀の編纂者は、そのことをおくびにも出さず、淡々と日向国側の見方を紹介しているように思われます。
その最たるものが、海人族の王女を巨大なワニにたとえていることです。まるで怪物か化け物扱い。越王であった八岐大蛇に対する扱いと同じぐらいひどいですよね。そこから読み取れるのは、日向国の正統な王が海の化け物と結婚してやったのだと言う上から目線でしょうか。

もちろん実態は「乳母」に象徴される海人族に「おんぶにだっこ」です。だけれども、そんなことは書けなかった。そりゃプライドがありますものね。エビで鯛を釣るというたとえがありますが、日向国の肩書(王統)というエサで巨大なワニ(海軍力)を釣り上げたとも解釈できますね。

いずれにしても、「巨大なワニ」のたとえは、腐っても鯛だという自負心が書かせた記述なのではないかと思っています。
(続く)


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