記紀に隠されたスサノオの8王子(その11)

スサノオとアマテラスの結婚の破たんによって、出雲族と日向族の確執が再び顕在化します。

『古事記』では岩屋から出てきた(日向国に戻った)アマテラスは次のように宣言したと書かれています。
「豊葦原の瑞穂の国は、わが子(高木神との子)のオシホミミの統治すべき国である」

これは非常に大きな意味があります。おそらくアマテラスはまだ、スサノオと、自分が生んだ娘たち3人に未練があったのではないでしょうか。でも娘三人のだれかに瑞穂の国(統一王朝)の王位継承権を認めることはできないと決断したことになるわけです。

となると、後は出雲を攻略してオシホミミを王に就けるしか方法はありません。
そこで、アメノホヒやアメノワカヒコを派遣して出雲を懐柔しようとしたのですが、逆に取り込まれてしまったのは既に説明した通りです。

業を煮やした日向国は、とうとう武力行使に踏み切ります。
そのころにはスサノオも年老いて亡くなったか、あるいはアマテラスとの失恋の痛みから隠居生活をしていたのだと思われます。
それに、既に王位は末子スセリビメとその夫のオオナムヂが継承しています。

日向族のターゲットは決まっていますね。出雲族の女王スセリビメとオオナムヂを倒すことです。
しかし悠長に戦争布告をして戦っていたのでは、分がありません。なにしろ紀伊にはオオヤビコ、大和には巨大な軍艦(天の磐船)を持つニギハヤヒことオオトシがいますから、援軍が来る前に奇襲作戦で出雲を攻略しなければなりません。

タケミカヅチを将軍とする選りすぐりの精鋭部隊が出雲国を急襲します。
このとき、どのような激しい戦いが繰り広げられたのかは想像するしかありません。オオナムヂもスセリビメも殺されたのか、あるいは捕えられて牢獄に入れられたのかもしれません。少なくともスセリビメに関する記述は記紀には見当たりません。あくまでもオオナムヂとタケミカヅチの間で話し合い(と言っても一方的にオオナムヂは脅されているわけですが)がなされたことになっています。

この時のやり取りは、古代日本の王たちの系図を知っていると、よりはっきりと理解できるんですね。
タケミカヅチから「国を譲り渡せ」と脅された大国主ことオオナムヂは「私は答えられないので、わが子コトシロヌシに聞いてくれ」と返事をします。つまりオオナムヂは、「私は女王の夫であって王ではないから、決められない。有力な王位継承候補であるコトシロヌシに聞いてくれと言っているわけです。オオナムヂ的には一応辻褄が合っているというか、筋が通っているわけです。だって確かに、あくまでも出雲の女王の夫であって王になったわけではありませんからね。出雲国の決定権はありません。

その時オオナムヂがコトシロヌシの名前を出したのも、よくわかります。コトシロヌシはカムヤタテヒメとオオナムヂの間に生まれた子になっていますが、カムヤタテヒメが何者かまったく記されていないんです。怪しいでしょ。意図的に出自を消しています。『先代旧事本紀』が正しいとすると、コトシロヌシはオオナムヂと宗像三女神の末子タキツヒメとの間に生まれた子ですから、出雲族が統一王朝の筆頭王位継承者として考えていたタキツヒメの子です。日向族が気がかりなのも当然ですね。

でも何かおかしいと思いませんか。正統な出雲王(女王)であるスセリビメの記述がまったくないだけでなく、記紀を隅から隅まで読んでも、スセリビメとオオナムヂの間に生まれた子がいないことになっているんです。

スセリビメの後半生とその子供たちの記録は、記紀から完全に抹殺されている可能性があるんですね。
(続く)
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