記紀に隠されたスサノオの8王子(その7)

日向族が持っていた祭祀王の称号であるアマテラス(天照)を、なぜ出雲族のニギハヤヒが持っていたかについても論述しなければなりません。

大まかな流れ次のようであったと思われます。スサノオとアマテラスの誓約により、曲がりなりにも統一王朝への道が開けたわけです。ところが、政略結婚によって生まれた子供は宗像三女神だけで、王子はいませんでした。

この辺りのことに関連して『日本書紀』には、アマテラスが誓約(政略結婚を決めた和睦)の際、スサノオに「お前がもし悪い心がないならば、お前の生む子はきっと男性だろう。もし男を生んだら私の子供として、高天原を治めさせよう」と言ったと書かれています。

この言葉が示す意味は、もしアマテラスとスサノオの間に男の子が生まれれば、その子を統一王朝の王にしようという双方の合意があったのではないかということです。

ところが既に論述したように、日向族の「アマテラス」と出雲族のスサノオの間には男の子は生まれなかった。
では、男の子が生まれなかった場合はどうするのか――。私が推測するに、その場合の取り決めがなかったのではないかと思うんですね。

日向族はおそらく、政略結婚の結果、王子が生まれなかったのだから、高木神とアマテラスの間に生まれた長男オシホミミが日向族の正統な王であると主張したはずです。その言い分(根拠)について『日本書紀』ではスサノオが「誓約の中で女を生めば黒い心があると思ってください。男を生めば赤い心ありと思ってください」と言ったことを挙げています。

まず、黒い心は邪心のことだと思いますが、「赤い心って何よ」と思いますよね。前後の文脈から言って「清らかな心」という意味だと思われます。でも、そもそも誓約というのは「占い」という意味ですから、生まれた子供が男か女かで賭けをしたと解釈することができますね。「赤か黒か」「長か半か」。日向族から見れば、スサノオはその賭けに負けたわけです。だからオシホミミが正統な王であると主張したんですね。

一方、出雲族の言い分は『古事記』の記述の中にあるように思われます。『古事記』では、スサノオはアマテラスに対して「私の心が潔白である証拠として、私の生んだ子は優しい女の子でした。この結果から申せば、当然私が誓約に勝ったのです」と告げるんですね。

「えっ、それってまったく逆じゃん」と、みなさんも思われますよね。そうなんです。記紀ではまったく逆の解釈が紹介されているんですね。日向族は政略結婚の結果、男の子が生まれなかったからスサノオの負けとしました。ところが、出雲族は女の子が生まれたからスサノオが勝ったとしたわけです。

「こんなことなら、男の子が生まれなかった時のことをちゃんと和睦の契約書に書いておけばよかった」と当事者が思ったかどうかはわかりませんが、とにかく誓約の解釈をめぐって両者の対立が浮き彫りになってくるわけです。
(続く)
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