記紀に隠されたスサノオの8王子(その4)

2011年12月に『竹内文書の謎を解く2--古代日本の王たちの秘密』(成甲書房刊)を出版した際、太田亮の『系図綱要』を基にしてスサノオの8王子の長男はオオヤビコことイソタケルにしました。その後2012年に、竹内氏からオオヤビコが次男であるという説を聞いて、面白いことを言うなと思いました。

正統竹内文書の口伝が必ずしも真実とは限りませんが、十分に、考察する価値はあるはずです。
では記紀から抹消されたスサノオの長男とは誰なのか。

仮にオオヤビコとアオハタサクサヒコが同一人物でないとした場合、長男の有力候補はクシナダヒメとの間に生まれたヤシマジヌミです。ただし『日本書紀』を信じれば、クシナダヒメを娶る前にイソタケルが父とともに出雲地方に「天孫降臨」したことになっており、矛盾します。

つまり記紀や『出雲国風土記』を丹念に読んでも、本当の長男が誰なのか、わからないようになっているんですね。
でも、悪戯好きな記紀編纂者なら、どこかに名前を隠したかもしれません。

ここからは連想ゲームです。
記紀に出てくる神で、私がスサノオの長男ではないかと思っている人物は二人います。
一人は葛城一言主大神であり、もう一人は猿田彦です。この二人は、出自がまったくわからないんですね。

出自がわからないという点では大国主ことオオナムジも同じですが、オオナムジは候補にはなりえません。確かに『日本書紀』の一書にはオオナムジがスサノオの子であったとも書かれています。でも、そもそもスサノオの娘婿ですから、矛盾もいいところです。『日本書紀』にはスサノオの六世の孫との記述もありますが、スサノオの娘と結婚させておいてそれはないだろうと思いますよね。

大国主の話はさておいて、一言主とサルタヒコをなぜ候補に挙げたかの根拠を説明しましょう。
葛木一言主については、時代はかなり下りますが、雄略天皇の時代に天皇と匹敵するほどの威光を放った神として記紀に登場します。これは見逃せません。と言うのも『古事記』では「天皇は恐れ入り、弓や矢のほか、官吏たちの着ている衣服を脱がさせて一言主神に差し上げた」と書かれているぐらいですから、まさに天皇を上回る人物として描かれているからです。只者ではないですよね。

何者なのか--。
『続日本紀』では一言主は「高鴨神」とされています。つまり賀茂氏が祀っている神なんですね。賀茂氏の祖がアヂスキタカヒコネ(タケツノミ)で『系図綱要』ではスサノオの子であるヤシマジヌミの系列ですから、スサノオと何らかの関係があったことがうかがえるんですね。太田亮は根拠を示していませんが、葛木一言主を次男として系図に入れています。

また葛木一言主はアオハタサクサヒコとの関連も深そうです。昨日説明しましたが、青旗は葛城山にかかる枕詞でもあります。
ただし一言主はおそらく名前ではなく官職名ですから、スサノオの王子ならだれもが一言主になれた可能性はあります。

それではサルタヒコはどうか。
これも謎の人物です。時はやはり下って、日向族のニニギが天孫降臨する際に行く手をふさいだ異形の神として描かれています。天孫降臨の行方を左右するぐらいですから、やはり只者ではありません。サルタヒコも怪しいですよね。

「サル」という名前で面白いのが、実はスサノオとクシナダヒメの間に生まれたヤシマジヌミの別名が『日本書紀』の一書(第一)に「サルヒコヤシマシノ」または「サルヒコヤシマノ」などと頭に「サルヒコ」と書かれていることです。サルタヒコを連想させる名前ですよね。

結局のところ、スサノオの長男が誰なのかはわかりません。ただ言えることは、どうやら記紀はスサノオの8王子の系図を意図的に隠したということです。それでもスサノオの「四男」と見られるオオトシに関しては、かなりヒントを残してくれました。
(続く)
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