記紀に隠されたスサノオの8王子(その3)

記紀に4人、『出雲国風土記』に5人の名前が記されているスサノオの「王子」をどう考えればいいでしょうか。
いろいろな解釈が考えられます。

一番手っ取り早いのは、8人ではなく9人であったのだ、とすれば一応解決します。八王子ではなく九王子。
しかし、あくまでもスサノオの王子は8人であったのだという説に固執すれば次のような解釈が考えられます。

第一に、記紀に出てくる4王子のうち、ウカノミタマが王子でなく王女であったと考えることです。
ウカノミタマは倉稲魂とも書くことからわかるように穀物の神です。実は名前や記紀の記述からは性別がわかりません。今風に言えばオカマとかゲイ、あるいは中性ということもありうるのかもしれませんが、女神だとする説も強いんですね。
これで記紀に3人、『出雲風土記』に5人の計8王子となり、一件落着したではないか、と思われるかもしれませんが、話はそう簡単ではありません。

記紀に出てくる王子と『出雲風土記』に出てくる王子が重複しているかもしれないからです。
そのカギを握るのがアオハタサクサヒコではないかと思うんですね。
青旗(アオハタ)とは、青々と木の茂るようすが青い旗のように見えるところから 地名の「木幡(こはた)」や「葛城(かづらき)山」「 忍坂(おさか)山」にかかる枕詞なんですね。『出雲国風土記』意宇郡大草郷の由来として、青幡の佐久佐丁壮の命が鎮座したことから大草となったと書いてあります。
また、大原郡高麻山の説明では、「神須佐能袁の命の御子、青幡の佐草壮(丁)命が、 この山の上に麻の種を初めて蒔かれた。だから、高麻山という。なお、この山の峯に鎮座されているのは、その神の御魂である」とあります。

この記述を読むと、日本全国に植樹や種まきをしたとされる紀伊国の神オオヤビコことイソタケルに非常によく似ています。
もしアオハタサクサヒコがオオヤビコと同一人物であれば、一人足りなくなってしまうんですね。

さらに言えば、スサノオの八王子にはもう一つ重大な秘密が隠されているようです。「正統竹内文書」の口伝継承者であるという第73世武内宿禰こと竹内睦泰氏によると、オオヤビコはスサノオの二男、オオトシは四男であると伝わっているからです。

私が古代日本の王たちの系図を語るとき、必ず参考にするのが、大正時代に発行された太田亮の『系図綱要』です。その『系図綱要』をもってしても、スサノオの長男はオオヤビコとなっているのに、竹内氏は別に長男がいると言うんですね。

このように誰もがスサノオの長男であると思っているオオヤビコ(イソタケル)には実は兄がいたのだという話が出て来たときには、要注意です。得てしてそのほうが真実であることが多いんですね。そもそもオオヤビコの母親が誰であるか、記紀に記されていないところが怪しいです。記紀ではオオヤビコの母親を記録から抹殺しただけでなく、スサノオの長男もまた消してしまった可能性があるんですね。

次回はスサノオの長男は別にいるのか、いるのだとしたら誰なのかについて考察してみましょう。
ご参考までに『出雲国風土記』に記された他の四王子がどのように記述されているかを掲載しておきます。

ツルギヒコ
「出雲国風土記」嶋根郡山口郷の由来に、「須佐能袁の命の御子、都留支日子の命がおっしゃったことには「わたしが治めている山の入口の所である」とおっしゃった」とあります。

イワサカヒコ
『出雲国風土記』秋鹿郡恵曇(えとも)郷の由来に、 須作能乎の命の御子である磐坂日子の命が、国内をご巡行になった時に、 ここにお着きになっておっしゃったことには、 「ここは、地域が若々しく端正な美しさがある。土地の外見が絵鞆(えとも)のようだな。わたしの宮は、この所に造り、祭り仕えよ」 と仰せられたとあります。

クニオシワケ
方結神社の祭神国忍別命(くにおしわけのみこと)がその昔、片江浦にたどりついた時、すでに暮れも押しつまっていて餅つき道具を片付けたあとだったので、膝でついたとの伝承があります。
国忍別(くにおしわけ)命、詔りたまひしく、「吾が敷き坐す地は、国形宜し」とのりたまひき。故、方結といふ、という記述もあります。

ツキホコトオテルヒコ
衝桙等乎与留比古(つきほことをよるひこ)命、国巡り行でましし時、此処に至りまして、詔りたまひしく、「吾が御心は、照明く正真しく成りぬ。吾は此処に静まり坐さむ」と詔りたまひて、静まり坐しき。故、多太といふ、とあります。
(続く)
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