鳴女vs探女--古代日本のスパイ戦争

『古事記』を読むと、暗殺や破壊活動、情報戦を含むCIAやモサド、KGBなどの現在の諜報活動が、近代において始まったものではないことがよくわかります。

タキリビメの息子であるアメノワカヒコを派遣して出雲国を懐柔しようという高木神の作戦は失敗します。シタテルヒメを娶れば出雲国の王になれるとの野心を持ったアメノワカヒコが命令された作戦を遂行しなかったからだと『古事記』には書かれています。そのいきさつは次の通りです。

アメノワカヒコが一向に破壊工作を実行しないのは、完全な裏切りか、それとも出雲族を欺くための見せかけだけなのかーーその真意を探るために日向国の高木神は諜報部員を出雲国に差し向けるんですね。その名も「雉(きじ)の鳴女(なきめ)」です。記紀を読んでいるとすぐに気づきますが、鳥とか、猿とか、犬とか、魚とか、動物の名前が付けられている登場人物はほとんど場合、諜報部員です。桃太郎(吉備彦)のお伽噺で、女装して油断させ「鬼ヶ島の鬼」こと温羅(うら)を暗殺した雉も「殺しのライセンス」を持つスパイでした。海彦山彦の話に出てくるタイやヒラメも同様。後に「猿女君(さるめのきみ)」と称されることになるアメノウズメも腕利き女性諜報部員です。

さて、高木神の命令で出雲国の情勢を秘密裏に探りに来た「雉の鳴女」ですが、出雲国の諜報部員によって正体を暴かれてしまいます。この時「雉」の正体を見破ったのが、出雲国きっての腕利き女諜報部員であるアメノサグメです。『日本書紀』には「天探女」と書かれていますから、誰がどう読んでも、女間諜(女スパイ)です。

捕えられた「雉」は、アメノワカヒコによって殺されたと『古事記』には書かれています。

自分が派遣した諜報部員がなかなか帰って来ないことを心配した高木神は、「雉」がどうなったかを探らせます。すると、その諜報活動によって「雉」がアメノワカヒコによって殺された「証拠」がもたらされます。それが「雉」の血が羽に付いた矢でした。その矢は高木神がアメノワカヒコに与えた矢とまったく同じものです。

アメノワカヒコが寝返ったことは明白でした。この裏切りに怒った高木神は刺客を差し向けます。刺客は寝ているアメノワカヒコの胸を矢で刺して暗殺に成功。これが「返し矢(敵から射て来た矢で射かえすこと)」の起こりであると『古事記』には書かれています。また、行ったきりで戻って来ない使者のことを「雉の頓使い(きぎしのひたづかい)」と呼ぶのもこのためだそうです。
(続く)
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